当然ながら僕ら人間は水中で息ができない。今後脳や人体の仕組みを解明する学術的な進歩と、AI/IoT/ロボットなどの技術やCRISPR/CAS9など遺伝子技術の進化により人間の機能拡張や改変が進んでも、水中での活動は別の手段で実現できるので、水中で呼吸できる体を手に入れることはないだろう。
しかし波に乗っていて海に落ちる時や、沖に向かう途中で波が割れる時など、サーフィンをしていると、程度の差はあれ水中にとどまる場面が度々訪れる。波が大きくなるとその滞在時間は長くなる。自分の身を守るには、息を長く止める能力が必要であり、方法を探して出会ったのが「Wim Hof Method(WHM)」だ。
(サーフィンやらなきゃいいじゃん、とのご意見もあるが人生を豊かにする選択肢の一つとしてやる前提で(笑)。)
Wim Hof Methodは、レイアード・ハミルトン、ケリー・スレーター、コア・スミス、 ジョン・ジョン・フローレンス、カイ・レニー等、錚々たる大波乗り達が実践している。
Wim Hof Methodは3つの要素で構成される。
・寒冷
・呼吸
・決意
息止めに繋がる「呼吸」パートの、呼吸法本来の目的は「自らの力で精神と体をコントロールし、自律神経に影響をおよぼせる」よう意図されたもので、源流はチベットのツンモという瞑想技術にあるという。インドの密教に端を発し紀元前4世紀ごろ発祥したとされ、その目的はあらゆる存在を恐怖のない叡智、自発的な喜び、そしてエネルギーにあふれた愛へと変えること。
ちょっと何言っているかわからないが、僕は息止めの効果を期待し実践している。本来の目的の達成状況は、今後気づいたらお伝えしたい。
このトレーニングでは、短時間で過呼吸状態を作り全身の血管から二酸化炭素濃度を減らす。血中の二酸化炭素は、酸素を運ぶために血管を拡張させる役割があり、 二酸化炭素不足は血管を収縮させる。これにより手足の痺れや、頭がクラクラしたり、目を閉じているのに光が見えたりすることがあるが問題ないという。
具体的な手順は以下の通り。
- 横隔膜マッサージをする(筋膜をリリースし、肺の可動域を広げる)
- 床に座るか、横になってリラックスする
- 息を完全に吸い込む(腹〜頭まで入れ、最後は横隔膜を広げるように意識)
- 息を吐き切らない程度に吐く
- 3, 4を30回繰り返す(手足が痺れたり、チクチクしたりするのはOK)
- 31回目に息を吐いたら止める(時間を測る)
- 全身の力を抜きリラックスする
- マインドフルネスで全身を観察する
- 日常の雑念が浮かんだらそれに気づき、全身の力を抜くことでリラックス状態に戻す
- まだ吐ききっていなかった空気を出したいと感じたら少しずつ出す
- 止められなくなったら、息を完全に吸い込み、10-15秒止める
- 息をリリースして、3-7を3ラウンド繰り返す
昨年の10月にWHMの日本人講師である清水ハン栄治さんと偶然出会うことができ教えて頂き実践開始。呼吸法による効果は、もともと1分程度しか止められなかった息が、2ヶ月後には3分、半年後の現在は4分以上に伸びている。
脳の酸素消費量は、全身の約20%と言われ、タイムを伸ばすには脳の活動量を抑えることが重要になる。タイムを伸ばすことは結果であり、その過程で精神の落ち着かせ方や、雑念による脳内の酸素消費の抑え方を体得できる。
実際サーフィン中は安静時とは異なり、波に前後左右上下、あらゆる角度からもみくしゃにされる肉体的負担と、波の大きい時は身の危険を本能的に感じる精神的負担を克服する必要があり、後者の能力が備わることを目指す。
WimHofMethodは、オンライン講座 (英語) も利用できる。
WimHofMethodの寒冷トレーニングも効果絶大。
(僕の場合は、花粉症、乾燥肌、偏頭痛が無くなった。)
頻繁には開催されないが、清水ハン栄治さんの講座はおすすめ。
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